アンティークウオッチの場合、たとえダイバーズウオッチであっても、またはオーバーホールを終えたばかりであっても基本的に防水性は保証されない。
その理由は、ひと言で言えば“古いものだから”にほかならないのだが、ではなぜ古いことが防水性が保証されない理由に繋がるのかを改めて解説したい。
機械式時計にとって、“水”はいまも昔も大きな弱点である。なぜなら主に金属で構成されるムーヴメント内部に浸水してしまうと、パーツがサビて動かなくなってしまうからだ。
この弱点を克服すべく開発されたのが、内部に水を侵入させない構造を採用した“防水時計”である。ケースだけに限っていえば、遅くとも1920年頃には気密性を高めた構造が色々と開発されていたが、問題はゼンマイの巻き上げや時刻設定のために開け締めをすることが多かった“リューズ部分からの浸水をどう防ぐか”であった。
この問題の解決策のひとつとして、ロレックスが26年に提示した防水構造が“オイスター”である。
ケース自体をネジ込み式にして気密性を高める発想は以前よりあったが、ロレックスのオイスターではこれに加えてリューズもネジ込み式を採用し、優れた防水性を実現した。なおオイスターの防水性がいかに優れているかを証明するため、当時メルセデス・グライツ嬢がこれを着用し、泳いでドーバー海峡を横断したエピソードが有名である。
- 作品名
- 【知っておきたい腕時計の基本】アンティークウオッチはなぜ防水性が保証されないの?
- 登録日時
- 2021/05/08(土) 16:17
- 分類
- 未分類